qp/tomoko yonezu + masaomi yonezu

ISLANDIZATION-切断とネットワーク-/ISLANDIZATION-discontunity&network

Osaka, JAPAN

2002-2003

project for AQUATECTURE in AQUAPOLIS

photo: masaomi yonezu

reference book: 大阪府航空写真図日下わらじや

concept

川が網目状に走る大阪の街を「陸が川によって分断されている」のではなく、「たくさんの島からできている」と考ると、大阪が手のつけられない巨大な塊ではなく、小さなまとまり(個性)の集積として見えてきます。このプロジェクトは、大阪の街が内包する「島的な構成」を強調することで、均質化されてしまった大阪の街にキャラクターを与えます。時には、既成の都市構造を切断し、積層し延長しながら島化-ISLANDIZATION-を通して、大阪の街が潜在させている内なる関係性を強化しようと考えました。

 


切断とネットワーク

地下鉄や鉄道といった交通網や、情報ネットワークなど、様々なインフラストラクチュアが地理的条件を超えて人や都市を結びつけてきました。その巨大で均質な拡がりは、都市の利便性や合理性を促進させる一方で、地理的な要因に基づく地域の特徴や、歴史的な蓄積に基づく固有性を埋没させ、場所性が相対化されていきました。かつての大阪は寺内町、町人の町、武家町、色町といったように、川で隔てられた島々がそれぞれ個性的で、川向こうはまさに別世界でした。街は川で分断されつつも、隣接する島々にそれぞれ自立した特徴があることでポンプのように人々を動かし、商人の街・天下の台所として繁栄していました。切断されていることも都市においてはネットワーク化の一つの方法であったようです。現在、大阪は最も元気の無い都市の一つと言われています。近代化されたはずの巨大でフラットな都市構造はどこかで個人の活力を蝕み、都市全体に疲弊をきたしているようです。今こそ、一見合理的かつ機能的にみえる既成の都市構造を切断し、そこから小さな関係性の萌芽を求めた方がよいのではないでしょうか。

 


反転の川

このプロジェクトは、大阪の二大繁華街「キタ」と「ミナミ」の間に挟まれた4km四方を敷地にしています。かつて街の中心だったこのエリアは血管のように河川が走っていましたが、今では土佐堀川と道頓堀を残して埋め立てられてしまいました。河川は、近代化の過程で連続した空地として見出され、一連の街区として、また道路や高速道路といった都市基盤として更新されました。埋め立てられた川の周囲では、人々の動きや建物の向きが反転し、かつて町界と呼ばれた境界線は溶け合い、街は発展しながらまた均質化していきました。ここでは、かつての川が物理的な境界であるがゆえに、隣接する島々の文化的・機能的な対比をより鮮明に浮かび上がらせていたことに注目して、島化へ向けて、埋め立てられた川の上に高さ25mの層状の建物「反転の川」を構築します。新たに構築された川は、周辺の用途や環境、地域性などを立体的に読み込みながら、都市の密度を吸収し、分節された島々にキャラクターを与えていきます。川は、島々を分け隔てる壁であり、人々が行き交う橋であり道路であり、また人々が活動する積層した床(建築)でもあるような高密度なインフラストラクチュアです。そして、このスペースは2つの対比的な都市環境に挟まれた居住スペースとして、都市活動に直接的また積極的に参加することを促し、空洞化した都市人口を埋め戻します。島化-ISLANDIZATION-を通して、街(島)が固有性を取り戻し、人々もまた隣接する島の特徴に応じてキャラクタライズされることで、大阪が、都市環境と生活環境が一体化した等身大の都市「小さな大阪」として再編成されると考えています。 


輸送、治水、排水の用から開放された川は、汚染環境(グランドレベル)と離されることで、水質の管理を徹底させ、都市の中心部において別世界のようなアーバンリゾートを実現します。地上25mの川では島々の特徴に応じて様々な活動が行われ、第二の地表としてネットワーク化されます。都市活動とアーバンリゾートがミックスした大阪の街では、街中を水着で歩く人も多くなるかもしれません。


小さな大阪

 

ある記述によれば、日本の人口は、2007年の1億2700万人をピークに、放物線を描くように減少し、2050年には1960年代と同水準の1億人、即ちピーク時の78.7%(21%減)となります。このような今まで歴史の中でも経験したことのないような人口の減少は、ただちに、経済活動の縮小や、利用土地面積の減少を意味するものではないものの、高度成長時代に獲得した遺産を生かしつつ、国土や地域における都市活動の基盤としての新たな空間を革新的に検証できるチャンスではあるように思います。大阪という1つのローカルな都市が、日本における発展志向型の政策の中で、利便性、公平性を求めて均質化していき、固有の地理的、歴史的、文化的な特徴が埋没してしまいました。川も認識できなければ、海もなく、夏になると毎年皮膚が焦がされるような灼熱の熱気に覆われ、コンピューターの集積回路のように無機的な風景を創出しました。このプロジェクトでは、埋没した固有の空間的特徴(ここでは失われた網目状の川)に注目することで(ノスタルジックにではなく、発展的に)、かつて水の都と呼ばれた風情と、天下の台所と呼ばれた賑わいを再生し、更新していくようなあり方を考察しています。都市居住、密度、アーバンリゾート、私的空間と公的空間のミックス、ヒートアイランド現象等、いくつかの都市の抱える現象を手がかりに、ISLANDIZATION(島化)という、切断とネットワーク化を同じ位相に抱える手法により、既成都市の再編成を促し、グローバルな地平に立つ小さな大阪を主張する試みです。